10.29.2012

たゆたう

こんにちは。

すこし朝晩の通勤が肌寒くなってきて

もう冬が手前までやって来ているように感じます。

でも今年は秋をいっぱいに感じられたので幸せ。


きのう寺町大丸堂での
たちなみえみさんと石川征樹さんのライブに行ってきました。

えみさんのうたが大好きで、昨日聴いた
お庭で男の子と女の子が「君の頬はバラのようだ。キスしたい。」
と言っている妄想を歌にした曲(笑)が
最高にすてきでした。

征樹さんのギターは心地よすぎて、
振り子時計のかちかちという音と
ランタンの明かり、
それらと重なって、
わたしは完全に違う世界に旅立ってしまいました。


真っ白の部屋。
そうっと風が吹いていて、
わたしはその白い壁に映写機みたいにして反対の部屋にあるものを映して見てた。
時計の針の音は時間を持ち去ってしまった。
そして何かを食べたいと思ったらそれが手の中にあり、
何かを読みたいと思ったらそれもすでに手に持ってた。
それらは本当に素晴らしいものだと手に持った瞬間にわかった。

そうしているうちにひとつのやさしい風がやってきて
わたしは真っ白な部屋を出る。
そこには真ん中に噴水のある小さなお庭があって
反対側の真っ白な部屋からは
わたしが待っていたものが現れる。
映写機で見ていたもの。
それがわたしの手に触れたとき、
温度が融解して
その瞬間にすべてが完璧になったと感じた。



という完全なる想像の世界に居たわたしは
演奏が終わっても半分そっちに居たかもしれません。笑

そしてすてきな、すてきな大丸堂のおじさまに名前を
覚えていただいていて、声をかけていただいて感激

ちなみにその前に乗越さんに寄って、世間話したら
すーーーごく元気になった。
彼女に会うと、なんだかいつも心の底から
エネルギーが湧く気がします。
ありがとう!

わたしの大好きな人たちは、みんな、目がキラキラ
ビー玉みたいに透き通っていてきれい。



とってもいい夜でした。


********

わたしの妄想話はもういいと思うので

先日のブログにも書いた

美しい美しいはなよめさん

彼女から前撮りのお写真をいただいたので

いっぱい載せてしまいます。

彼女の写真も、
他の世界に連れて行ってくれるのでは、
と思うほど素敵です。

言葉は必要ないですね。





















10.28.2012

textile



−何かを選択することは

 何かを選択しないことだ。

すべて分析ではなく、勇気に関わる問題である。−


    



今回はドレスをつくる上での生地への思いについて
ちょっと書きたいと思います。


もともと、衣食住に対してオーガニックという言葉に関心がありました。
否、なんとなくいいんだろうなと思っていました。


でもそれが自分の作っているドレスと直接に繋がるとはあまり思っていなく、
ただ、オーダーメイドでドレスをつくりはじめて
お客様とお話を重ねて、一着一着こころを込めてお作りするようになってから
生地を選ぶ際の基準として、見栄えがいいだけでなく
花嫁さん自身が気持ちのいいもの、
身に纏うだけでやさしい気持ちになれるもの、
そういうものを使いたいと思うようになりました。


そんな中で生地を模索していたときに、オーガニックコットンに
ついての記事を読む機会がありました。
それを読んだときに、わたしの考え方は以前とは全く違うものに変わりました。
記事をそのままペーストすればもっと分かりやすいのかも
しれませんが、わたしなりの解釈を加えた言葉で
思いが伝われば、と思うのでわたしの言葉で書かせていただきますね。




ほとんどの人がコットンのお洋服は1枚は
クローゼットに入っているのではないでしょうか。
さて、そのお洋服はどんなコットンで作られているか知っていますか?


今、農作物に使用される農薬や食べ物の添加物の危険性についての
関心がやっと少しずつ高くなってきている気がしますが
綿花も育てるときには大量の農薬や枯れ葉剤が使用されるのだそうです。

綿花ももともとは自然のものなので昔は完熟したら手で採る、という感じ
だったものが大量生産と利益追求のために
ある程度成長したら促進剤と枯葉剤を大量に飛行機でまいて
機械で摘むという農法が主流なんだそう。


今、ほんとうにどこでも安く流行のお洋服が手に入るようになりました。
1シーズン着て、飽きたらぽいっとして
次のシーズンにはまた流行の服を買えばいいのです。

わたしは完全にはファストファッションを否定出来ません。
自分自身もそれの恩恵にあずかっているところはあるから。
企業努力でコストを下げている会社もあります。
ただ、やっぱり時間をかけて、大切につくられているお洋服は
残っていって欲しいし、それが選べる自分でありたいし、
そういうものが作れる自分でありたい。

自然とも調和的でありたい。
大量生産や利益追求のためにされていることはとても不自然です。
わたしたちの日々の生活においても同じことが起こっていると思います。
まわり人との調和や、食べ物との調和、
自分自身との調和。
そういうものを大切にしたい。




また、農薬はとても高価で、かつ土地自身の力を弱めます。
そうすると次の年にはさらに強い農薬を使わないと綿花は育たなくなります。
この悪循環で発展途上国の農家は借金をして農薬を買わざるを得ない状況が
あり、そのために自殺者まで出ているのだそうです。
この事実を知ったとき、本当にショックでした。

正直、オーガニックの製品はそうでないものに比べて値段が高いので
オーガニックのものを使うとコストが上がります。
同じ金額のコットンドレスを作っても農薬を使って作られた
生地を使った方が利益は上がります。


ただ、わたしは、幸せをサポートするお仕事をしています。


だからそのために関わる人、ものについても
なにかよくないものであったり、
ましてや人の命を犠牲にして作られる生地を使ってまで
作るドレス…。
それは本当の意味で幸せをサポートするものとは言えないし
作り手も、生地を生産する側も、着てくださる花嫁さんも、
全ての人が幸せになるようなものづくりがしたいと思いました。


オーガニックの生地は着る側はもちろん気持ちがいいです。
アトピーやアレルギーのない人でも
ふんわりと優しい肌触りはこころをまあるくしてくれます。

そして、有機栽培で綿花を育てることによって
土地は豊かになるし、ゴミも少なくなったり、
農家の人は借金もしなくて済むので収入も増えます。
そして農薬を使わないので健康でいられます。

また、フェアトレードのオーガニックの商品を扱っている
会社に勤務する方はストレスが少ないとも聞きました。
正直な商品を扱っているから売る事にも誇りを持てるし
自分自身もそれを触ったり、使ったりすることで調和的になったり
するのだそうです。
みんなにやさしい、っていいですね。



こんなことを知ってから、
わたしに出来ることは、と考えたときに
できればウェディングドレスもオーガニックコットンで作れたら、
と思うようになりました。
ただ、ドレスはやはり白が人気ですし
(染色して白色の生地もあるのですが化学染料を使っていたら意味がないし、
やはりまだ種類は少ないです)
コットンはしわになりやすかったり、問題も色々あります。
オーダーで作っている以上はお客様の希望が最優先です。

ただ、生成りのドレスを着たいという方や
ナチュラルなドレスのイメージを持って来られる方などには
オーガニックコットンをオススメしたりしています。
そうでない方にも、なるべく天然繊維を。
うちのサンプルドレスなどはこれから少しずつオーガニックコットンの
ものが増やしていければいいなぁと思っていて、
選ぶ側の花嫁さん自身にもこういう事実を知っていたら
またちょっと見え方が変わるかなと思って
ここに書かせていただきました。

この秋には何着かオーガニックコットンのドレスを作らせていただきました。
そのために私もオーガニックコットンで、且つシルクのように
肌触りが滑らかで高級感のある光沢の生地をかなり探しました。
着てくださった花嫁さんがみなさん「生地が優しい」とか
「気持ちがいい」って言ってくれたのが嬉しかったな。


わたしも天然繊維以外の素材も使います。着ます。
「こうしなければならない」というのは違うと思っていて、
やわらかく、自由に、まあるく、たのしく
これからもものづくりが出来れば嬉しいなと思っています。


農業については私は全くの無知ですし、
生地についても全然勉強不足
(なので、事実と違うことを書いてたらご指摘ください。。)
ですがわたしもちょっとずつ、
これから学んでいって、わたしの手とあたまとこころを使って
一人でも多くの人の幸せのお手伝いが出来ればな、と思っています。







saya

10.27.2012

静寂に咲く花のドレス

この日もそっと風が吹く

最高に気持ちのよい秋の日


またまた素敵な結婚式がありました


凛とした雰囲気の彼女

でもお話するとその柔らかい雰囲気に吸い込まれそうになる

器の広さと、守ってあげたくなるところ

実はすごくしっかりしている部分

そんな相反する魅力をたくさん

ぎゅっと 花束のように抱えた彼女には

控えめで静かに

だけど

まわりを包みこむ 温かさと懐の深さ

清々しい凛々しさを持ったドレスをお仕立てしました


花のように笑う彼女のために

花のように咲く素晴らしい1日になるようにと願いをこめて









とってもきれいな花嫁さんでした。


白ではなく、生成りの
シルクのような滑らかな肌触りのオーガニックコットンに
様々な種類のレースをのせてヴィンテージのドレスのような雰囲気に
仕立てました。

スカート部分だけでなく、
胸元にもさりげなく小さなレースが入っていたり。

ヘッドドレスとイヤリングはドレスの生地をベースに、
グローブは雰囲気に合わせて、重くなりすぎないよう
フィンガーレスのレースのものをお作りしました。


バックスタイルはシンプルですが
広い会場に負けないようトレーンを長めに。





披露宴へのチェンジ中。
挙式はベールもあるのでビスチェですっきりとシンプルに。
披露宴ではグローブと同じレースのトップスを付けて
少し雰囲気を変えられるようにしました。






いつもアトリエへ来てくれるたびに楽しく
笑わせてくれたmaiちゃん。


挙式前に最後にアトリエを訪れてくれたとき、


わたしの夢を叶えてくれてありがとう。

あなたの夢も叶うように祈っているね。


という英語のメッセージを書いたキャンドルをプレゼントしてくれました。




maiちゃん

わたしもまたひとつmaiちゃんに夢を叶えてもらったよ。

ありがとう。




いつも「夢を叶えてくれてありがとう」という言葉を
プレゼントしてくれる花嫁さんたち。
その言葉こそ、わたし自身が夢を叶えてもらっている証拠。
お守りの言葉。








とってもきれい。






10.24.2012

すみれが唄う日に




秋晴れのすごく気持ちのよい日

富山のすてきなフレンチのレストランで小さな結婚式が行われました



シンプルで華美ではないけれど、
とてもこころのこもった飾り付けやお花。
ひとつひとつが時間をかけて、手作りで準備されていて
居るだけで、主に準備をされてらした花嫁さんとそのお母様の
気持ちが伝わってくるようなあたたかい空気に包まれていました。









レストランに併設しているチャペルでは
朝からお花屋さんのオーナーである花嫁のお母様がせっせと
飾り付けをされていました。






アトリエへはいつもお母様と花嫁さん、そして先に産まれた
かわいい、かわいい娘ちゃん
3人で仲良く通ってくださいました。





ある日とつぜんの出会いが繋いでくれた今回のドレス。
お母様自身もウェディングドレスに対する思いがすごくあって、
はなよめさんとおかあさま2人の思いを
ひとつずつ、星のかけらを拾い集めるようにして
大切にわたしの胸にしまって、
それを少しでも形にできるようにと試行錯誤して出来上がった子です。






ドレスはイメージだけをお聞きして、デザインもほとんどを
お任せいただいて作りました。


ナチュラルな雰囲気のオーガニックコットンのドレス。
胸元にはすみれの花をイメージした刺繍をいれました。
うしろにはたっぷりのフリル。








前から見るのも感動的だけど、
入場を後ろから見守るのも、いいです。





ママとお揃いで娘のsyunaちゃん(6ヶ月)のドレスもお作りしました。
胸元の刺繍もおそろいです。
やわらかいオーガニックコットンの素材は
赤ちゃんにもぴったりです。






当日は完全におひめさまでした…




2次会はsyunaちゃんも付けているようにお袖をつけて
少し雰囲気を変えました。







いつもあどけないキラキラの笑顔で

でもどこか母としての芯の強さみたいなものもしっかりと感じさせる

一輪のお花のような はなよめさん

彼女にお仕立てしたのは

妖精のようにふんわりと可愛く

その胸元にはすみれが唄うドレスです


明日もあさっても これから先も

ずっとずっと

そのこころにすみれが唄う日々がつづきますように








10.17.2012

あたらしいはじまりのドレス

この日はお客様であり、
大切な友人でもある彼女の結婚式でした。

学生時代わたしのポートフォリオのモデルをしてくれた彼女。
それ以来、自分の結婚式でわたしの作ったウェディングドレスを
着ることが夢だとずっと言い続けてくれた彼女。



この日、そのわたしたちの夢が叶いました。




長い時間をかけたからこそ得られたもの。
その時間の経過の間に
少しずつ少しずつ手のひらの中にしまってきた
ものたちを出来る限り使って
大切な彼女のドレスをつくりました。




この日彼女は天使のようにきれいでした。








背筋が伸びるようなまぶしく凛々しいひかりの朝

とがった心を優しく包んでくれるような柔らかいひかりの朝

曇った心に一筋の希望を照らすような静かなひかりの朝



彼女はそんな、朝のひかりのような女の子

そんな魅力をそのままドレスに仕立てました


彼女のあたらしいはじまりが

そんなひかりに包まれる清々しい朝のようであるように







ドレスは2wayでベースドレスにオーバードレスを付け替えるかたちで
白とカラーの2着分をつくらせていただきました。

総レースの長袖のドレス。
後ろから光をまとったような長いトレーンがふんわりついています。





シフォンのカラードレスは
うすいグリーンとうすいブルーの2色のシフォンを重ねて
微妙な色合いをつくっています。
風にゆれると、ブルーがつよく見えたり、グリーンがつよく見えたり。
胸元のお花はひとつひとつ手刺繍しています。






料理がすきなお父さんと、料理をお仕事にしている彼。
2人とも10月がお誕生日ということで彼女が手作りした
色違いのエプロンをプレゼント。
わたしは食べます!と言ってました。かわいい。




前撮りの写真もすーーーーーっごく素敵だったので
またお写真をいただいたら載せますね。

今頃、彼女はパリでセーヌ川のクルーズを楽しんでいるのか、
モンサンミッシェルにいるのか、
カフェで彼とブランチを楽しんでいるのか。。。
うらやましいです。




大切なひとが
大切な日に
彼女の大切なひとたちの前で
幸せいっぱいにひかりにつつまれる
その様子を見られて
わたしはほんとうに胸がいっぱいでした


彼女と出会ってから
ここまでの長い長い時間
すべての時間に感謝します



ありがとう



これからもよろしくね。












10.16.2012

Pearl Dress

こんにちは。
今日も夕暮れがきれいです。
淡い青とオレンジがとけあってひとつになっている。


さて、先週末はまたドレスをオーダーいただいたお客様の挙式でした。


こちらのドレスはとってもシンプルに、
でも柔らかい空気感はしっかりと残しておつくりしました。



キラキラと多面的な光を放つ宝石ではなく

パールのように、その滑らかな曲線からあふれる

やわらかで上品なかがやき

必要以上に飾らないからこそ

その美しさは 引き出されます

その謙虚さとやわらかな光が放つ本質的な美しさは

同じようにそれを持つひとにこそ似合うと思うのです




いつもシンプルだけど素材感のきれいなお洋服を着て
アトリエをたずねてくださった花嫁さん。

ひかえめに、でもふんわり可愛い笑顔でいつも話す彼女。

そんな彼女の良さがそのまま引き立つように
ドレスもとってもシンプルにお作りしました。
シンプルこそ、本質を浮き彫りにします。



素材はシルクサテンにオーガンジーを重ねて
ベージュのリボンをきゅっと結んでいます。
後ろのトレーンは少し長め、背中にはくるみボタンをお付けして
ウェディングドレス!という感じのドレスです。




2次会の際には腰のリボンのお色をチェンジして雰囲気を変える作戦。
ベージュから鶯色みたいなやわらかいグリーンへのチェンジです。
これだけでも見え方が全然ちがいます。


リボンも太さと長さは全く同じ2本ですが巻き方を変えるだけでも
雰囲気を変化させることができます。


当日のお手伝いには入れなかったのですが
次の日、どうでした?とのわたしの問いに
「最高」と答えてくれた新郎さま。
胸をホッとなでおろしました。

きっと、きっと、素敵な花嫁さんだったんだろうな。
またお写真拝見できるのが楽しみです。


いつもお2人で仲良くアトリエに通ってくださり、
新郎様も一緒に生地選びや背中の開き具合、シルエットなど細かい
部分まで一緒にチェックしてドレスづくりを楽しんでくださいました。



素敵な時間をたくさん共有してくださってありがとうございました。
そして、ほんとうにおめでとうございます